たまにはエンドの話を

最近まったく書いてないエンドの話です...ρ(..、)

レントゲン写真から
術後2年のレントゲンです。
いやいや上手く治りました。


初診時
術前レントゲン:http://www.eedental.jp/blog/archives/2009_5_9_431.html
左上2
左上1
右上1
の3本に「病変」所見がありました。
最後に術前⇒術後の写真があります。

*最近は「病巣」とは言わなくなってきています。
私も大学時代は病巣と習ったのですが・・・

時代時代で言葉は変化しますね^^;
『病巣』 ⇒ 『病変』


各歯がそれぞれ問題をもっていました、
左上2:根尖病変+パフォレーション(歯に穴が開いてしまっている状態)( ̄Д ̄;)
左上1:根尖病変+側枝の病変(根の先と歯の横に病変あり)( ̄Д ̄;) ( ̄Д ̄;)
右上1:根尖病変+歯根吸収( ̄Д ̄;) ( ̄Д ̄;) ( ̄Д ̄;)

ですから各歯でアプローチの仕方を少しずつ変える必要がありました。

まず左上1から治療を始めました。
左上1
根の先端の方は神経管が複雑に分岐します。Q2の図を参照
http://www.eedental.jp/contents/medicalcase/microscope.html
簡単に言うと、
入口は1つで出口は複数あるという状態です。
メインの出口以外のことを側枝と言います。(木の幹と枝の関係のようなものです)

厄介なのは人の手で機械的に削り掃除できるのは1つだけです(」゜ロ゜)」
2つ以上の穴が感染すると専門的な知識アプローチがより必要になります。

少し特殊な洗浄を行いシルダー法(コンテニアスウェーブ)にて根管充填
流石、「シルダー法」複数の側枝に根管充填できています。
通常の根管充填では人間が触れた根の先(出口)1つしか根充剤(最終的な薬)が入りません。

術後 (みどころ:側枝)
http://www.eedental.jp/blog/archives/2009_5_10_430.html
レントゲンを複数枚撮り見てみると凄く複雑な側枝が存在しているようです。
根充後直にファイバーコアを作って上から細菌が侵入出来ないような環境作りまで行いました^^v

*ただし、根充材が根の先まで入れば治癒する訳ではありません。
根充剤には期待できるほどの薬効はありません・・・、
でも側枝に入らないより入った方がきちんと側歯まで掃除出来ていると言う1つの指標にはなります(⌒▽⌒)


次に左上2
「く」の字状の歯なのですが、異なった方向に根管形成がされており・・・
本来の出口ではない場所に人工的に穴が開いてしまっています。
このような形の根管は非常に根管形成が難しいです。

攻め方次第なのですが、例えば「へ」の字さらに複雑な「雷型」の根管でも
http://www.eedental.jp/contents/medicalcase/usa_case1.html#case11_2

勤務医時代に行いましたが、治療前日色々治療アプローチを悩んだ覚えがあります(><)
再治療になると元々あった根管を探すのは非常に難しくなってしまいます。

あっ、これだけ、ここだけ理解してください。
初めて神経を触る抜髄と異なり、一度人の手が入った感染根管歯(再治療歯)は
抜髄(新車)

感染根管(10年落ちのボロボロ中古車)
ぐらい差が出ます。


専門に治療を行う人間は色々な知識・道具・特殊な技でこのボロボロの車を問題なく走る(使える)ように修理する訳ですが、中にはボロボロ過ぎて修理不可能な車(歯)も出てきます。

ですから根の治療は1回目の抜髄が勝負なのです!!
1回目の根の治療と2回目以降の根の治療は難易度が別次元になってしまっています。 ←これ覚えておいてください(^人^)
「悪くなったら専門医にかかればいいや!!」はある意味間違えです!!

で、左上2は元の神経管が探しきれなかったので触れる所まで
根管内を拡大・洗浄後、歯の穴をMTAを用いて根充(^-^)

MTAは私が取り扱ってきた材料の中でも過去最強に扱いにくい材料です┐( ̄ヘ ̄)┌

でこの歯も術後直ぐにファイバーポストを立てました^^v


右上1
この歯は歯根吸収が見られ、更に大きな土台が入っている歯でした。
根の先端も歯根吸収が見られた為大きく広がってしまっています。
(出口が非常に大きく広がってしまっている)

この場合も歯の大きな穴(#70:0.7mm)をMTAにてシールしました。
*私は根の先端が0.7mm以上開いてしまっていれば人為的にMTAで埋めに行きます。

あるHPを見ると、MTA根管充填するから当院の根管治療は自費治療となりますなど書いてあるものがありますが、
MTAで根管充填すると中のMTAを除去することはほとんど不可能なので
再治療は出来なくなるということは知っておかれた方がいいと思います。

ですから、全ての歯をMTA根管充填するのは・・・      ナンセンスかと。。。思います。

私は自分の中の0.7mmと言う基準に従いMTAを使用するようにしています。
(東京の専門医の先生にも基準を聞いたらそのぐらいと話されていました。)

この辺りって現在全く基準がないんですよ、ですからMTA根管充填は各先生の経験則によるところが大きくなってしまいます。。。


で、2年近く経過して病変がなくなりました。
http://www.eedental.jp/blog/archives/2009_5_11_432.html
たまたま3本とも治ってくれてよかったです((((ノ^◇^)ノ


一部の方には最近『根の治療の大切さ』が認知され始めました(゜-^*)σ
根の治療って、底の見えないディープな世界なんですよぉ〜





あっ、遊んでばかりではないですから^^;
 

投稿者 eedental : 00:56 | 歯内療法(エンド)