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歯内療法日記の最近のブログ記事
間違った根管治療で大きな根尖病変(膿)
- 2025年10月11日 09:00
- 歯内療法日記
【お知らせ】
10月12日~10月20日までお休みを頂きます。
留守番電話、メールの対応は21日からとさせて頂きます。
カルテ番号の若い、久しぶりに来院された40代の女性患者さん
抜歯+手術ケースの大きな病変
術前
ウズラの卵ぐらいの大きな病変(黒い部分は炎症で骨が溶けています)
本来の神経管は先端で右側に曲がっているのですが、Hファイルなど先端の削れるファイルで根管治療を行うと、オリジナルの神経管とは間違った場所に穴を開け医原性の問題を作ってしまいます。
旧来の根管充填剤が根の先まで入ればOKという間違った根管治療。。。
根の先をこういった治療をされてしまうと再治療の成功率が40%になるという報告もあります。
*ブログ読んでくれている先生は、抜髄でこんな事しないでください。
経過を見ながら根管治療を行い
MTAセメントにて根管充填
根の先が壊されており、オリジナルの根管は触れませんでした。
根管充填材はMTAを使用
患者さんにはこれで腫れたりして来たら外科的歯内療法が必要になると説明
根管充填後にレジンを詰めて経過観察
術後1年 患者さんは腫れ痛みはなく生活できているとのこと
黒い部分に骨が出来てきてくれています。
OK,OK! 89%治るケースだわ!( ^ ^ )/
術後2年
1年前に比べても骨が出来てきてくれており、これは待てば更に骨出来るだろうと推測し終診とさせていただきました。
(遠方からの患者さんだった為)
先日別件で久しぶりに来院されたので、レントゲンを撮らせてもらいました。
大きな透過像は無くなっています。
小さなな透過像は残っていますが、特別治療は必要ないと思われます。
注目すべきは根の先のMTAの吸収
長期的に見ると、根管内のMTAは吸収しないのですが歯の外に出たMTAは吸収が見られます。
根管治療は歯科治療の中でも手間もかかり、症状も出やすく治療が難しい分野なのですが最新の医学を知っている先生と30年前の治療基準で治療をしている先生では差が出てしまいます。。。
今回のケース
15年経過して歯はこんな変化をするんだなと1つ経験を積ませてもらいました!
ホント長期症例診させてもらうのは、個人的にも非常に学びになります(^。^)
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根管治療 術後12年
- 2025年10月 8日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは60代男性
治療させてもらった歯のセラミックブリッジが外れたと連絡がありました。
当時のレントゲン
右下6に少し大き目の根尖病変があります。
右下5はコロネクトミー がしてあり、骨の中に根っこが残っています。
(この方法は、骨の厚みを確保する為の方法です)
根管充填
この当時は根充確認でレントゲンを撮っていました。(今はやっていません)
セラミッククラウンが外れたと10年以上ぶりに来院されたのでレントゲンを撮らせてもらいました。
病変は綺麗に治っています。
セラミックブリッジも綺麗に戻ったので、再Setしました。
ただ、次に外れたら作り直した方がいいとも説明済み
基本的に根管治療をした歯は1年予後まで追いますが、それ以降は問題起こったら来てね!システムなので長期ケースを見ると一安心します(・ ω・)ノ
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女性に多い樋状根の根管治療
- 2025年10月 3日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは30代女性の衛生士さん
4年前ぐらいにMTAで直接覆髄をした歯、3カ月前から咬合痛&フィステルが出来膿が出てくる。
とのこと
レントゲン
第二大臼歯に直接覆髄がしてありますが、根の方には大きな透過像(骨が溶けている場所)
第一大臼歯遠心根にもうっすら透過像あり。
今回のケースは珍しくフィステル(膿の出口)が2か所あります。
ということは膿の原因場所が2か所あると推測されます。
第一大臼歯はそんなに問題無いように見えるので、とりあえず第二大臼歯の治療を行うことにしました。
1回目の治療
直接覆髄がMTAでしてありましたが、完全に神経は死んでしまっていました。
虫歯の取り残しなどもなく綺麗な治療がしてあったのですが、このような結果になってしまってます。
直接覆髄法の難しい所なのですが、この方法は年々成功率が下がり大丈夫かな!?と思っても数年後に神経が死んでしまうことがある治療法です。
私も昔はよくMTA直接覆髄はやっていましたが、最近はあまりやること少なくなりました。
ただ、積極的に神経を取ることはせずに「シールドレストレーション」や「AIPC(非侵襲性歯髄覆罩)」などの神経を出さない間接覆髄法を主にしました。
理由は直接覆髄より間接覆髄の方が予後が良い!
結局、患者さんの望むことはなるべく神経を残したいという希望なので、その希望を完遂することに主眼を置きます。
1回目の治療で根管内を徹底的に綺麗にして、
治療2回目 2個あったフィステルも無くなっていたので根管充填+レジンコアまで
根管充填材はガッタパーチャー使用
*基本的に私は根管充填材はMTAが良いとは思っていませんので、ケースを選んでしか使っていません。
ネットで根管充填材はMTAが良いと情報を拾ってくる患者さんもいますが、ネット情報が必ず正しいとは限りませんのでね。
今週1年予後で来院しててもらいました。
レントゲン
綺麗に骨が出来上がってくれています!
また1本前の根尖病変に見えた歯の所見も落ち着いているように見えます。
個人的に経験を積んだ為に、積極的な医療介入は避けるようになりました。
私の持論ですが、「歯の寿命を縮める最大の因子は歯科医師の治療」だと思っているので
長く歯を使う為には、治療介入のタイミングというのは非常に重要だと感じます。
保険治療だからダメ!自費治療で治さないと治らないなどは思いませんね。
先日も「ちょっとこれ酷いな。。。」と思えるインプラント屋さんの自費根管治療を見ましたが、保険か自費選ぶ前に歯科医院(歯科医師)選びが重要だと思いますね(・∀・;)
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歯根破折+パフォレーション
- 2025年9月27日 09:00
- 歯内療法日記
気になっていたので久しぶりにレントゲンを撮らせてもらいました。
術前
右上2:メタルコアによる歯根破折
左上1:神経管と異なる所を削ったことによるパフォレーション(フィステルあり)
術後
右上2:破折片を抜いてレジンにて立ち上げ
左上1:パフォレーション部をMTAセメントにてリペア
今月撮らせてもらったレントゲン
右上2:は骨頂からレジンで立ち上げましたが、問題は出ていません。
左上1:はMTAセメントが歯の輪郭に沿って割れていますが、今の所異物反応は出ていません。
こういうレントゲンを見ると、歯って咬む力で動いているんだなと改めて覚えさせられます。
患者さんも「先生調子いいよ!」と言ってくれていますので経過観察で行きます。
前歯のパフォレーション、歯科医師って前歯でも殆ど見えてなく感覚で治療しているんだなとこれも改めて思います。
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水酸化カルシュウムを押し出す治療
- 2025年9月26日 09:00
- 歯内療法日記
以前書いた記事ですが、
根管治療の水酸化カルシュームの使い方 - EE DENTAL_Blog
病変を治す為なのか!? 歯の外の病変内に水酸化カルシュウムを押し出す治療
昔は権威のやっている治療が広まってしまう土壌がありましたが、今はエビデンスベースの治療が主となっているのでこういったおっかない治療が流行る土壌は無くなってきています。
ただ、ホント止めた方がいいと思う日本オリジナルの治療で全国中に広まった治療の1つに水酸化カルシュームの押し出し。
先日、治療した歯の調子がわるいという患者さん
ん~、水酸化カルシュウムが歯の外に押し出しているように見えます。
私はこの歯歯根破折だと判断し、抜歯させてもらいましたが。
抜いた歯には根尖病変内に水酸化カルシュウム
国内で販売されている根管貼薬剤の水酸化カルシュウは殆ど油なので
歯の外に押し出しても吸収して骨に変わることはありません。
そもそも論なんですが、根尖病変の原因は細菌感染でその結果として骨の吸収が起こります。
つまり溶けた骨にアプローチしても殆ど意味ありません。。。
先生も患者さんの歯を治そうとアプローチしていると思いますが、
宗教的な非科学的な方法をチョイスしても治る確率は低いと思います。
メーカーの方も歯の外に押し出さないで下さいと、シリンジにもシールが貼られるようになったのですから、水酸化カルシュウ好んで押し出している先生は止めた方がいいと思います。
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穿通が出来ないという主訴
- 2025年9月17日 09:00
- 歯内療法日記
同級生の小児歯科医の紹介患者さん
患者さんは10代男性
検診時に歯の色が変わっており、検査の結果神経が死んでいるということで根管治療をスタートしたが、根の先まで穿通が出来ないとのことで紹介を受けました。
先生によると
2018年 根未完成歯の時に中心結節が折れ冷温水痛が出たので生活歯髄切断を行う
経過良好で来ていたが、
2024年歯冠の変色が見られ感染根管処置を行なうも、根尖までファイルが行かないが根管内からは浸出液が認められる。
難易度が高いと判断した為、専門医での治療を勧める とのこと
レントゲン
根管中央から下がたぶん生活歯髄切断後に出来た部分だと推測されます。
患者さんに治療の説明を行い、1回法で治療を行うことにしました。
歯の中からは石灰化物(石みたいなもの)がコロコロ出てきましたが、穿通は無かった為
徹底的に洗い、開けれた所までをMTA+で根管充填、その後レジンコア+レジン充填
レジン充填後
術後半年、と術後1年で来院してもらい経過を見ましたが、
これであれば外科的歯内療法しなくても済みそうです。
難易度が高いと判断し専門医を紹介してくれるかかりつけの先生は患者さんからしても安心できますね!
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原因不明の歯根吸収 2年予後
- 2025年9月 5日 09:00
- 歯内療法日記
以前ブログで書かせてもらった患者さん
口蓋根中央部の外部吸収1年2ヵ月予後 - EE DENTAL_Blog
口蓋根の中央辺りに大きな歯根吸収があったケース
先日2年予後のレントゲンを撮らせてもらいました。
抜いた部分の骨も綺麗に治ってくれており、残した神経も問題なさそうです。
何とか残りそうな雰囲気がでてきたので、最終的な被せ物をしていきます。
*この場合弱った歯に負担を与えない為にプラスチック系の弱い材料で補綴します。
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痛みの出てしまった歯の根管治療
- 2025年9月 3日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは70代女性
左上7の神経保存の治療を行ったが、最近になり痛みが出てきてしまったとのこと
レントゲン
大きな詰め物がしてあり神経付近まで削っているようです。
現在、鈍痛があり冷・温水痛があるとのことで根管治療を行うことになりました。
レントゲン上では神経管がかなり細くなっており、1本は神経管が認識出来るのですが・・・
経験上第2大臼歯の神経管はバリエーションが多く、必ず顕微鏡下で治療をした方がいいと思います。
*アメリカは州によっては第2大臼歯の根管治療は歯内療法専門医が行い、GPの先生は治療出来ないようになっているそうです。(理由は再治療になる確率が高く、医療費の無駄遣いだからだそうです)
小柄な女性患者さんでしたが、何とかラバーをして
前の先生はきちんと虫歯は取っており、綺麗な治療がしてあったのですが、
前の治療の際の虫歯が大きかったようで痛みが出てしまったように思えました。
*ある面これは仕方がないことだと思います。
ラバーダム後、1時間でレジンコアまで仕上げました。
*神経管系の処置は細菌感染を防ぐ意味でも1回で済ませた方がいいと思っています。(神経を取ってきちんと消毒して接着性のある材料で蓋を行う)
レントゲンに写っていなくてもMB根、DB根の入り口はすぐに分かったので
#08(0.08mm)のファイルを用いて神経管を探しましたが、この辺りは専門的な道具があった方がスムーズに治療が可能です。
*#06も医院にはありますが、細過ぎてファイルに腰がないのでケースを選んでしか使いません。
顕微鏡治療していない先生からすると、根管内なんか見れないんだから一緒でしょ!?と思われますが、
顕微鏡を日常で使っている人間からすると、根管以前に、髄角や根管口、イスムス部分も分かりそこを適切にピンポイントで処置できます。
歯みたいな小さな組織を必要最小限の治療で納めるためには、必ず顕微鏡はあった方がいいと私は思います!d(・c_・)
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根管治療 術後15年
- 2025年9月 2日 09:00
- 歯内療法日記
2007年に開業して18年目となります。
ありがたいことに、20年近く自費専門でやっていけています。
先日カルテ番号の若い方が歯がかけたということで来院されたので、
ついでに昔治療した歯のレントゲンも撮らせてもらいました。
覆髄した歯が痛いとのこと
抜髄処置を行いました。
当時はしっかりシーラー付けてコンテニアスウエーブで根管充填していました。
術後1年
問題無く経過しています。
先日来院されたので
術後15年にしては良い感じです。
経過を見て行くと当時はこうやっていたんなだと思うことが色々出てきます。
今出来る最大限のことをさせてもらっています。
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折れていると思われる歯の根管治療
- 2025年8月23日 09:00
- 歯内療法日記
患者さんは50代女性
腫れてきてしまった為近くの歯科医院に行くと根管治療が必要と言われ、
根管治療ならEEデンタルへ行きたいと言うことで、来院されました。
レントゲンを撮ると
右上4に透過像が見えるのですが、側面に透過像がある為
折れているorパフォレーションを疑いました。
今更言っても仕方がありませんが、前の先生は削り過ぎだろ・・・
大きなメタルコアを慎重に外し1回法で根管治療
クラックはなく、2本の神経管の間に比較的太いイスムスがありその部分が汚れていました。
ここまで太く削っても手付かずで汚れた部分が出てくる。。。
顕微鏡で必要最小限の切削で治療を終えました。
根管治療+レジンコア+仮歯(2時間)
先日1年予後で来院して頂きました。
患者さんは腫れも痛みもなく生活出来ているとのこと、
レントゲンでも側面の透過像も無くなり、骨が出来てきてくれています。
先日も患者さんに言いましたが、今の50代以上の患者さんは
顕微鏡が無かった時代の治療が殆どで、大きく削る治療主体のものばかりなので
残り治療回数後1回という歯が多いです。
その最後の治療が失敗すれば抜歯となるので、結構治療もタイトに行わないとすぐにダメになってしまいます。
「十年一昔」といいますが医療もそれは存在します。
ただ、歯科医療の根本は削って人工材料で置き換えの歴史なんですが・・・
今回の患者さんも最後の治療で何とか治せて良かったです。
後はセラミッククラウンを少し低目に作り、しばらく負担の軽減をさせたものを作ります。
*クラウンも作りますが、健全歯質が少ない歯のかみ合わせは少し低目がいいと考えるようになりました。(理想的な咬合理論は机上の空論ように思えます。←あまり咬合勉強していないけどそう思います)
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