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EEデンタル こだわりの最近のブログ記事

上顎の分割抜歯(トライセクション)と縁下マージンの是非

EEデンタル根管治療後のクラウンもやっていますが、ここは専門ではありません。

  

巷でいう形成量(削る量)ですが、個人的にはクラウンにする歯に関してはセラミックでもメタルクラウンでも気にする必要はないと考えます。

理由は、どちらにせよエナメル質を全落としするのと、形成量も70%なのか65%なのかの微々たる差なので削ることに差はないと思います。ネットで色々検索すると色々書いてありますけどね。

 

形成量より私が気にした方がいいと思うのは、マージン設定とマージンラインの鮮明さ

適合、予後に関してはこちらの方が圧倒的に重要になります。

 

 

今回のケース

50代女性、過去に2回根管治療を行っている

1カ月前に歯茎が腫れて来た、治療した歯科医院では噛み合わせの調整を行った。

転院して抗生剤を貰った際に奥歯2本が疑わしいと言われ、再根管治療が必要で1週間に1回薬の交換を3ヵ月は必要と言われた。

 

レントゲン

2025 EEdental IWA (1).jpg

腫れの原因は右上6 折れている可能性がある

右上7はクラウン超不適合でこちらは腫れの原因ではなく、起るとしたら歯茎の縁が赤くなる歯肉炎

*右上6の遠心もクラウン不適

と説明

 

患者さんには右上6は折れていたら分割抜歯をするか!?と説明

すると患者さんは「えっ、そんな方法あるんですか!?」と驚かれていましたが、

個人的な経験則では上顎の分割抜歯は下顎に比べると予後は良い。

 

患者さんの了承をもらい治療スタート

やはり近心頬側根は折れていました・・・

と言うことで分割抜歯

 

右上7の超不適合クラウンのやり替えもすることにしましたが。。。

 

治療した先生に聞きたいんですが、「縁下マージンにするメリットは!?」

*マージン:被せ物の縁のことで、大きく分けて縁上・辺縁・縁下(歯茎の上・同等・下)があります。

 

このマージン設定、学生の頃から凄く疑問で特待生の同級生と色々議論していました。

*因みに私は学年でも1,2位を争うぐらい勉強は出来ていませんでしたが、こういった所は感が働く学生でした。

 

個人的に、縁下マージンのメリットなんてセラミッククラウンの際のほぼ審美性のみ

奥歯に審美性を求めるのは芸能関係の仕事に就いている人のみで、一般の方ならセラミックでもあまり歯茎に中まで削り込まない設定を勧めます。

特にメタルクラウンのようなケースは縁下に落としてはダメ!入れるメリットが絶対ない!!!(今回のケース)

 

近心なんかは縁下2mmぐらい下に入れられており、すぐ下は骨みたいな状況

この辺りは顕微鏡がないと手の感覚で縁下形成するので、こんな感じになってしまいますが、

逆に言えば顕微鏡ないなら、見える範囲の縁上で止めておけばいいのに・・・  

2025 EEdental IWA (2).jpg

  

これで次の歯科医師が見ると、「マージンが悪いので歯肉弁根尖側移動術を行い健康な歯質を上に出すべき!」など今度は手術の流れとなります。

前の歯科医師が行った医原性の問題で!?

 

今回のケースは2本ともメタル修復で治させてもらいました。

2025 EEdental IWA (3).jpg 

 

模型

2025 EEdental IWA (5).jpg

第2大臼歯はかなり縁下形成+マージンも超ガタガタ・・・

↑これでも顕微鏡下でかなり修正しました。

多少のガタガタは技工士さんの技術でカバーしてもらい綺麗に入りました!

  

分割抜歯をした場所

2025 EEdental IWA (4).jpg 

だいたい仮歯の形がトレースできたかな!?

 

仕方がないといえば仕方がないのですが、奥歯の裸眼治療は歯を残す為には結構リスク高い治療なんですよ。(保険治療が安すぎるのがそもそもの問題点ではありますが)

 

こういった患者さんの目の届かない場所まで顕微鏡治療はこだわります( ・ω・)ノ 

側面の根尖病変と縁下マージン - EE DENTAL_Blog 

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分割抜歯を行い使えるだけ使う歯の治療

毎回ブログで書いていますが、条件の悪い歯になってくると歯を残すかどうかの診断は先生毎に異なります。

特に根管治療で問題の出た歯は、根管治療得意・不得意で差は出てしまいます。

理由は根管治療は歯科治療の中でも細かい作業の連続で難しいから。

 

まぁ、国家試験に受かれば一律で同じ知識と技術みたいなイメージを患者さんは持たれますが、

車の運転免許と同じ、一般人が試験対策の勉強をしてライセンスだけ交付してもらうようなものです。

 

運転免許と少し違うのは実技は免許を取った後に行うもので、そこから技術を付けて行きます。

 

私の時代は臨床実習がまだあった時代なので、大学病院で患者さんを診させてもらうことが出来ましたが、それでも1年で5人ぐらいの診察でした。

 

大学を卒業すると、大学院に行ったり、医局に入ったり進路は色々です。

私なんかは、遊びたかったのですぐに開業医に行きそこで技術の習得をしました。

  

ただ、この進路は個々に好きに決めていいのですが、先日聞いた話では

アメリカの大学は大学卒業すると優秀な人は専門医の道に進むようで、今一番人気があるのは歯内療法科(エンド)

理由は給料がいいから(笑)

 

今、歯内療法専門医になると新卒で年収は4500万だそうです。

これだけの給料が確定していればそれは頑張りますわね。

 

日本なんて歯科医師の平均年収は1000万を切る時代です。

*開業医の労働時間って雑務含めると週50時間は越えると思います、日曜とかの学会や勉強会時間を含めると更に労働時間は長くなります。

 

患者さんがそんなことは知ったこっちゃないのですが、まぁ現場の人間としては目の前の患者さんの治療をするだけです。 

 

患者さんは50代女性

歯茎を押さえると痛い、普通にしている時は問題無いが食べ物が当たると痛い。

先生には根の方に問題があると言われた。

 

レントゲン

2025 EEdental HIY (1).jpg

かなり根管が太く削ってあり、近心根に問題がありそうです。

 

治療をしてみると

2025 EEdental HIY (2).jpg

近心根の側面に大きなパフォレーションがありそこをMTAで埋めました。

今の時代こんなに根管太く削らない方がいいと思うんですけどね。。。

  

仮歯を入れ経過をみて行きます。

半年後のレントゲン検診

2025 EEdental HIY (3).jpg 

普通にしている時に痛みは無いが食べた時は一過性に痛い。

 

根管治療から1年4ヵ月

近心根にクラックを見つけ、咬んだ時に痛みは破折だと分かる。

*最近見つけた法則として、仮歯が頻繁に外れる歯も折れていることが多い

 

患者さんと話し合い分割抜歯(ヘミセクション)することに

2025 EEdental HIY (4).jpg 

分割抜歯は裸眼で盲目的に行うより顕微鏡下でカットしてカット面をなるべく滑沢にした方がいいと感じます。

 

ヘミセクション後仮歯を作り直して経過観察

2025 EEdental HIY (5).jpg

術後1年抜いた部分はしっかり骨が出来ており、これで治療を終了しました。

 

先日、久しぶりに電話がかかってきて、痛い感じが最近またし始めたとのことで来院してもらうと、

2025 EEdental HIY (6).jpg

特に変な所見もなく1年前のレントゲンを同じでしたので、このまま使ってもらうこととなりました。

 

歯科治療は1本1本問題が異なります、また患者さん毎に痛みの感じ方もことなります。

 

日本ではまじめにやるとホント儲かりませんが、非常に面白みのある仕事ではあります(笑) 

65歳ぐらいまではやろうと思っていますが、年々衰えを感じるので何歳まで情熱が維持できるか!?

 

患者さんにこんな話したら「ちょっと患者が困るからもっと働いてよ」と言われました。。。 

 

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神経保存活用術

今の親御さんの虫歯に対する意識は、ふた昔前に比べるとかなり高く

虫歯なし=当たり前

複数本虫歯=ネグレクト

とも捉えられます。

また虫歯1本作ると非常に落ち込むお母さんもいます。

 

ただ、安心してください。

歯科医師でも子供に虫歯を作ってしまいます(笑)

しかも複数本。。。

  

4年前の術前

2025 EEdental INS (1).jpg

同級生の小児歯科でレントゲンを撮った際に「虫歯あるよ」と指摘を受ける。。。

 

個人的には虫歯を見つけるのは結構得意なんですが、

この虫歯、歯と歯の間の歯茎のきわから虫歯が出来ており完全にステルス虫歯

やはりレントゲンを撮らないと虫歯は分からないなと再認識

  

同級生には、これは井野先生が治療した方がいいと言われ、 

メチャクチャ久しぶりに乳歯の虫歯治療をすることにしました。

レントゲンからでも神経付近まで進行しており、「神経を出さないように慎重にやらないとな」思ってスタートすると

ものの1分で露髄(神経が出る)

「あ~、覆髄(神経保護)するか・・・」

セラカルという材料で神経保護を行った後レジン充填

  

そこから半年して、神経死んでいないかチェックのレントゲンを撮ると

2025 EEdental INS (2).jpg

今度は奥から2本目のDにC2・・・

ここでチョコレート禁止令&おやつの回数の制限を発令

 

前回露髄させてしまったので、今度はエキスカを使いシールドレストレーションで神経保護を行うことに

*シールドレストレーション:虫歯を残したまま詰め物をして虫歯の進行を止める方法

シールドレストレーション 

2025 EEdental INS (3).jpg

虫歯を残したままレジン充填

6歳でしたが、30分頑張ってくれて麻酔から切削、レジン充填まで動かず全て顕微鏡下で治療できました。 

  

 

最近になり、咬むと何か痛い時があるとのことで久しぶりにレントゲンを撮り

神経死んでいないかチェック

2025 EEdental INS (4).jpg

数日パンなどを咬むと痛かったそうで、レントゲンを撮った日には痛みはない。

どうやら歯の交換期で歯根吸収が起こり症状が出ているようで特に治療は必要無さそうです。

このまま無事に永久歯に移行してくれればと願っております。 

  

すみません、私は小児やっていませんのでこのブログ見て問い合わせされても治療は行えません。

小学校の高学年ぐらいになると治療出来る子は多くなります。

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頑張ったらOK!?

毎日診療していると、「えぇ~、これでいいの!?」というケースにたまに遭遇します。

 

今回のケースは60代の患者さんで治療をして欲しいとのこと

レントゲン

2025 EEdental UER (1).jpg

左下6は歯根破折により抜歯と判断

少しびっくりしたのが左下7の赤丸部分

正直どういう理由でこうなったのかが理解できませんでした。

 

歯茎の中、骨の辺りまでえぐる様にけずってありそこは空洞。。。

 

いやいやいや、見えないのにこんな治療しちゃダメでしょ!と思うのですが、

歯科医師は頑張ってやった結果がこうならお咎めなしという非常に恵まれた立ち位置

 

ただ、自分の歯がこんな事されたらたぶん怒りますし、何でこういう結果になったか聞きます。

*訴訟まではしませんけど、問いただします。

  

患者さんは左下を抜いた後、部分入れ歯にしたいとのことでしたので、左下7はきちんとやり替えた方がいいと説明させてもらいました。

 

電気メスを駆使して、歯髄保存も行いました。

2025 EEdental UER (2).jpg

レジンで縁下からビルドアップして、その部分はレジンマージンで形成 

  

30~40年前の顕微鏡のなかった時代なら仕方がないよね・・・

だと思いますが、現代において歯を残したい患者さんニーズを見事に裏切る治療ならやらない方がいいと個人的には思います。

治療した先生は、他の歯科医師に紹介するという極々当たり前の選択肢は持った方がいいように思えます。

  

 

この後、痛みが出ないか仮歯で1~2ヵ月経過をみてゴールドクラウンを入れて行く予定です。

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フロスか歯間ブラシか使ってね。

患者さんは40代女性 全顎検査でレントゲンを撮ると

右下第3大臼歯の銀歯の下と第2大臼歯の遠心目に虫歯が見られます。

ただ、気になるのがレントゲンにも映る大きな歯石(黄色〇内の三角形の白い点)

2025 EEdental TOR (1).jpg 

定期検診に行っているにも関わらずここまで大きな歯石にしてしまっています。

また長く歯石が付着しているようで、その下の骨も歯周病で溶けてきてしまっています。。。

  

この歯と歯の間は歯間ブラシやフロスを入れないと汚れはずっと貯まる一方で、長年の蓄積でこのような大きな歯石が形成されます。

ですから、私は患者さんには1日1回でいいから歯間ブラシかフロスは入れるように説明しています。

 

奥歯の歯石は裸眼では殆ど分かりません、顕微鏡でも分かりにくいのでレントゲンを撮る必要があります。

患者さん的に言えば定期的にメンテナンスに行っていればきちんと取ってくれていると思ってしまうと思いますが現実こんなものです。

   

患者さんには虫歯の治療の際に取れれば一緒に歯石も取りますと説明  

2025 EEdental TOR (1).jpg

*歯茎の中の歯石なので麻酔をしないと痛い場所です。

 

術後 

2025 EEdental TOR (2).jpg 

虫歯&歯石、綺麗に治療出来たと思います。

  

個人的には、こういった歯石を見つけ取れるのであれば定期検診も意味あると思いますが、

こんな大きな歯石を無視されるメンテナンスなどはあまり行く意味ないなと思ってしまいます。

 

正直3ヵ月に1回行くメンテナンスなどは中等度以上の歯周病の方ぐらいでいいと思います。 

虫歯の為の健診なら6~12ヵ月に1回行くぐらいで十分だと個人的には思っています、

はっきり言って3ヵ月に1回メンテナンスに行っているような歯科医師は殆どいないことが、その答えだと思いますよ。

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分割抜歯(トライセクション)1か月後

ちょっと前にブログにさせて頂いた分割抜歯 

 

術後1ヵ月のレントゲン

2025 EEdental SUY(6).jpg

 

術後1か月後の口腔内

2025 EEdental SUY(7).jpg

*白いのはラフ形成した削りカスが歯肉についているだけです。

術後1ヵ月としては順調に治っていますので、仮歯を入れて咬めるようにします。

  

個人的な意見では分割抜歯して問題を起こすことが多いのは分割断面の凹凸

分割抜歯は顕微鏡下(低倍率)で歯をカットして、中倍率でカットした面を音波で慣らし段差を出来るだけないように作っています。

後、クラウンは歯肉にくっ付けるように多少オベイト状に製作していますが、分割面に歯ブラシは当たりませんが、個人的な経験では歯肉の問題が出たことはありません。

むしろ分割抜歯でダメになることが多いのはやはり破折になります。

 

仮歯のまま生活してもらい6ヵ月予後でレントゲンを撮って行きます。

 

今回のように第一大臼歯は近心頬側根が破折などでダメになることがたまにありますが、

速い段階できちんと分割抜歯したものは意外と長く使えています。

*15年ぐらい持っているケースもあります。

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新種のクラウン!?

先日初めて見たクラウン

2025 EEdental P.jpg

何これ!?仮歯!? と思ってしまったのですが、

   

検索してみるとどうやら保険適応を受けた「PEEKクラウン」因みにこの状態が本歯みたいです。

 

PEEKは2018年にカルフォルニアでこんな材料あるよとは聞いていましたが

LA RDT(レジスタードデンタルテクニシャン)ツアー - EE DENTAL_Blog

まさか、こんな所で出くわすとは。

 

 

世界的な金属の高騰で採算が取れない為、金属(銀歯)を使えなくなってきており代用材料として

この材料が選択された訳ですが、

 

歯科医師でこの材料自分の口に使う先生っていますかね!?

  

個人的に【良い材料】とは、「昔から使われてきており歴史のある材料」だと解釈しています。

歯科の場合「新しい材料・新しい治療が直ぐに最良になることはあまりありません

 

 

2019年に書いたブログですが、

歯科保険治療 - EE DENTAL_Blog 

結局、物価上昇率に対しても治療費の値上げがないまま来てしまい、衰退していくしかない歯科保険治療です。

  

保険治療も大変な時代に入ったなと思います。

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固めるとレジンは動く

先日参加した技工士学会 

面白かった技工士学会 - EE DENTAL_Blog  

 

そこで奥森さん(入れ歯のプロ)が講演の中で言っていた、「レジンは固めると動く」

凄く印象的な言葉でした。

 

実際、歯科分野でも同じことは言えますし、これをどう理解し補正していくか!?

 

例えば、私が2012年に外科的歯内療法を行わさせて頂いた患者さん

2024年年末に腫れてきてしまった為見せてもらうと

2025 EEdental TOS (2).jpg

レントゲンで破折線が確認でき、患者さんと話し合い近心根を抜歯して遠心根を残しましょうとなりました。

 

ヘミセクションさせてもらい抜歯した近心根を観察すると

2025 EEdental TOS (1).jpg

側面はきちんと接着しているのですが、下底部(赤部分)はレジンが浮き上がり隙間が見られます。

この当時は一般的なデュアルキュア系コア材料を使用して1塊でレジンを填入していましたが、

詰めるレジンの量が多いのと、Cファクターがマックスの為固めると浮き上がりが発生してしまいます。

 

こうやって浮いてしまうと術後感染(コロナルリケージ)も起こりやすくなってしまいます。

  

なるべくこういったことが起こらないように現在レジンコアは

 

1塊で詰めるのでなく、10回~15回以上にレジンを少しずつ詰め、収縮量の極力小さい充填用レジンを用います。(コア用レジンは収縮量が大きい)

また下から積層すると浮き上がりが出てしまう為、横積層や詰める場所をランダムに動かしたりしています。

 

たぶん顕微鏡を使ってレジンコアを作っていない先生は分からないと思いますが、少し透明系のレジンを使うと詰めた部分のレジンが浮いているかが分かります。

浮いた場合は詰めたレジンにホワイトラインが出ます。

ただ、ランダムに詰めることによりそこはある程度補正をかけることが可能です。

患者さんの中には保険の歯科医院と自費の歯科医院は何が違うのかたまに聞かれますが、はっきり言えば手間のかけ方とこだわりが違います。

材料などは殆ど同じですが、個人的には材料の差で予後が大きく変わることはまずないと考えています。 

 

  

やっぱり、その道のプロがいう言葉には臨床のヒントが隠されているなと感じます。

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レントゲンから読み取る

レントゲン検査とは単なる白黒写真であり、血液検査のように数値で出るものではありません。

レントゲンは本来白っぽくないといけない場所が黒く映っていたりと、正常所見から逸脱した場所を探し病気の予想をします。

ですから、術者の読影能力が直結するものです。

例えば、同じレントゲンを見ても卒後間もない先生と30年レントゲンを見てきた先生では読み取るものも違います。

 

またレントゲンメーカーでも鮮鋭度に差があり、より鮮明に映るレントゲンの方が読み取れるものも多く診断の手助けになります。

 

EEデンタルは虫歯治療と根管治療をメインに行っているのでレントゲンには凄くこだわりを持ち、メーカーも嫌がるぐらいレントゲンの調整をしています。

(今はレントゲンもデジタル化しているのですが、ソフトである程度像の調整ができます。)

  

で、今回のケースは、虫歯の大きさを読み間違えたケース

 

患者さんは30代男性

1年前にレントゲンを撮っており、虫歯があるよと告知はしていました。

2025 EEdental MIA (1).jpg

顕微鏡で歯を見ても特に大きな虫歯のようには見えません。

 

私は虫歯を発見は、顕微鏡6割、レントゲン3割、患者さんの症状1割で見つける感じです。

ですから、虫歯の発見は顕微鏡がメインとなるのですが、この歯に関しては全く虫歯に見えずたまたまレントゲンを撮ると黒い穴があったので、「たぶん虫歯ありますよ」という診断

 

レントゲンを撮って1年後に患者さんから連絡があり、以前言っていた右上の奥歯の治療をして欲しいとの依頼

 

で虫歯を削ったのですが、イメージしていたより思いの外虫歯が大きい

削って行くと歯茎のかなり下の方にも穴が空いており、この時点でレントゲンを見返しまさか。。。

2025 EEdental MIA (2).jpg 

この紫色のラインが虫歯の場所!?

 

その後2か所神経が見え、セラカルにて直接覆髄を行いました。

 

で、術後のレントゲン

2025 EEdental MIA (3).jpg

紫色の部分とほぼ一致・・・

 

基本的になるべく最初の指針と処置に違いが無いように、顕微鏡&レントゲンはきちんとしているつもりなのですが、今回のケースは久しぶりに虫歯の大きさを読み間違えました。

 

普通ここまで虫歯が大きくなると、顕微鏡で見ると歯の色がグレーに見えたり、彩度が落ちたりしていて見逃すことはまずないのですが、今回の歯はもの凄くイレギュラーで歯の色が健康そのもの色をしていました。

ここまで虫歯が大きくなっても症状が出ないことはよくあります。

 

患者さんには動画で説明を行いましたが、今回の反省点は1年前のレントゲンで治療をスタートするのではなく、1年ぶりに来た際にもう一度レントゲンを撮るべきだったなと反省しました。

 

ホント虫歯の治療も発見も難しい。。。 (>。<)

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抜歯適応は先生毎に違います。

患者さんは当時20代女性  

親知らずの影響で歯茎の中に大きな穴があるが痛みなどはない。

   

 レントゲン

2024 EEdental MaY (1).jpg

過去に神経を取る治療がしてありますが、親知らずが斜めに生えており

第2大臼歯の遠心面が吸収or虫歯所見あり。

 

インプラントをやっている先生なら速やかに抜歯をして骨を守るという治療方針だと思います。 

ただ、患者さんは20代ということもあり、何とか歯を残したいとのこと。 

 

患者さんにはトライはするが残せない可能性もあることを説明し治療スタート

まず邪魔な親知らずを口腔外科で抜いてもらい、穴にアプローチすると

やはり親知らずの影響で外部吸収がみられ、そこに虫歯も併発しているような感じでした。

 

縁下から隔壁を作り根管充填+レジンコア

2024 EEdental MaY (2).jpg

咬むと痛い状況もあり、レジンコアのまま様子をみてもらい経過観察

 

 1年経過を見ましたが、腫れや痛みもないとのこと

2024 EEdental MaY (3).jpg

 このケースは硬いクラウンを入れるより弱いレジンで経過を見た方がいいと判断しレジン充填で済ませました。

  

と言うのが13年前の話

 

最近来院されたので、レントゲンを撮らせてもらいました。

2024 EEdental MaY (4).jpg 

患者さんも違和感なくつかえているとのことで、このまま使ってもらうことに 

  

同じ歯を診ても残せる・残せないという判断は先生毎に違います。

 はっきり言えばインプラントをしていない先生ほど次の処置が無い為歯の保存にチャレンジしますし、

インプラントをやっている先生の方が早い段階で抜歯提案をします。

   

患者さんはこういった事を知っている・知っていないで自分の歯の本数は変わってきますよ。

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